恐怖のカレーを開発した心霊マニアO。
心霊マニアが、何故カレーを作ることになったのか。何故恐怖のカレーなのか。
謎に迫ります。
心霊マニアの噂
第壱夜
金沢にOという心霊マニアがいました。
Oは妻と子供二人の4人家族でした。
彼はオカルト現象が大好きでしたが、人を怖がらせたいわけではありませんでした。
彼は、あの世とこの世にそんなに違いはないのに。
どうすればみんなにわかってもらえるのかと考えていました。やさしい幽霊もいるのにというのが、彼の持論です。
この世の人が、幽霊さんと仲良くなるには?
あの世とこの世がつながっていることがわかれば死ぬことが怖くなくなるし、この世で些細なイザコザもなくなるのに。
どうすればみんなにわかってもらえるのか?
みんなを洗脳する方法はないか?
どうすれば?
考えた末に、彼は思いつきました。
媚薬を食べ物に入れて、気づかぬうちに洗脳してしまえばいいんだ。
みんなの好きな食べ物はなにか?
深夜テレビを見ていた彼の目に飛び込んできたのは、カレーのCMでした。
「そうだ、カレーだ。特に金沢ブラックカレーは最近流行っているし。ゴリラに負けないぞ!」
そして、彼は、スパイスをブレンドして、カレーを作りはじめました。
夜中に作ったのは、昼は仕事をしているからという単純な理由でした。
夜中にカレーを作っている父親を見て、子供たちは「恐怖のカレーを作っている」と話しました。妻は台所を占領する夫を内心、ウザいと考えていました。
しかし、いつまでたってもカレーを食べさせてくれません。
そんなある日、とうとうカレーが完成しました。
最初に洗脳するのは家族です。
「やっと恐怖のカレーが食べられるんだね」子供達は嬉しそうでした。
「恐怖のカレーって?」と彼は尋ねました。「毎日夜中にカレーを作るお父さんを見て、みんなで話してたんだよ。"あれは恐怖のカレーだ"って。」
そこで、そのカレーは「恐怖のカレー」と名付けられました。
真っ暗な部屋でろうそくを灯して、家族は恐怖のカレーを食べました。一口食べて、食べた家族は笑い転げました。
恐怖のカレーは、怖いだけでなく、人を笑わせる力も持っているのです。
それから、恐怖のカレーは、人を怖がらせるふりをして、笑わせているのです。
心霊マニアは今日も夜中にカレーを作っているらしい…(という噂。)
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